あにまるセカンドライフin岡山 

愛護センター、保健所などからのレスキュー活動、日常の出来事

放射線・放射能に対して不安を感じていらしゃる方へ

          【 転載 】
日本動物高度医療センターの夏堀雅宏先生がお書きになった放射線に対しての科学的な見解です。
先生の了解をいただいて転載させていただきます。
ぜひごらん下さい。

放射線の標的は遺伝子(DNA)だが,その発がんを含めた影響は100mSvを超えて初めて現れはじめる

※日本で一般的に使用される放射線という言葉は,電離放射線のことである。科学的には,あるいは海外で放射線(radiation)と言えば,遠赤外線,赤外線,可視光線,紫外線,X線,γ線を含む電磁波(いわゆる光)と,α線,β線,重粒子線などのイオンビームからなる粒子線を指す。ラジオ(radio)は放射線の英語である(radiation)が由来であるくらいポピュラーな言葉だ。日本人はラジオと言われても,放射線(radiation)と絡めて想像する人はまず,いないであろう。

 電離放射線はその高いエネルギーによって物質を電離させる能力がある。このての放射線は,細胞内に発生するラジカル(中でもヒドロキシラジカル)と呼ばれる極めて反応性に富む化学物質を主に水から産生し,それによって遺伝子を化学的に修飾(または損傷)することがある。この頻度はもちろん放射線の量に依存して,放射線の量が増えるにつれ,遺伝子の傷も増加する。

 人は,いや生物は有史以前から放射線を有する環境と付き合ってきた。その過程で,放射線や放射線以外の理由で発生するフリーラジカルによって損傷した遺伝子を速やかに修復する能力を生物は獲得してきた。このため,人や動物では100mSv未満の放射線では,他の原因と同様に遺伝子が傷ついても,ほぼ完璧に修復することができるようになった。だが100mSvを超えてくると,遺伝子の修復能は怪しくなって,修復を失敗する確率が増え始める。これが染色体異常という,目に見える形となって表れてくる(図)。放射線誘発性の発がんも同様であり,その閾値は現実的に100mSv(しかも1月や1年の合計した線量ではなく,1度に100mSV照射されることで乳がんの発生にはじめて有意差が認められる)と考えてよい。この線量未満では統計的有意差は現れていない。

 ※放医研のデータを基に試算してみた。放射性ヨウ素(I-131)の場合,仮に飲水することで甲状腺が一度に100mSvの被曝を生じる水道水中の濃度を試算すると,大人がそれを2リットル飲むと仮定しておよそ2-2.5MBq/L程度となる。これは今回発表された水道水中のヨウ素濃度(210Bq/L)のおよそ1万倍濃縮された場合であり,それを2リットル飲んで初めて達成されることになる。ここで気を付けてほしいのは,この条件で初めて自然発症率をわずかに有意に上回るだけのリスクが増加するのであって,全員が発癌するわけではない。

まさに甲状腺癌に対する定性的なリスクの報道が先行し,このダイナミックスの広い定量的に無視できるリスクを報道するという重要な義務が果たせなかったのである。つまり,あの時の水道水中の濃度レベルでは「ただちに,どころか一生飲んでもそのために健康を害することはないのである。」

http://www.nirs.go.jp/information/info.php?i8

 では,100mSv未満の線量で遺伝子はほぼ完璧に修復されるという,この【ほぼ完璧】とは,完全つまり100.00000・・・%ではない。図に示されているように,幸か不幸か99.8-99.9%という不完全さを有している。つまり,放射線に当たってなくても,1000人に1-2人は遺伝子の修復に失敗していることがあるのだ。このため,自然環境下での極めて確率が低い統計的ゆらぎの中で起こる遺伝子修復の失敗による異常遺伝子の発生は,【自然発生率】と表現している。自然発生率は私達にはどうすることもできない宿命である。なぜこのようなことが起こるかというと,我々の日常生活でも遺伝子は放射線以外の影響で常に傷つき,それを修復するという作業を繰り返しているためだ。この原因は放射線の影響というよりもむしろ化学物質,生命の営みで起こる細胞内でのフリーラジカルの発生によるものだ。そのなかでも,紫外線や,外来物質としては変異原物質とか,発がん物質と呼ばれる化学物質が,それにあたると考えてよい。体内で起こる物質の代謝(酸化・還元過程),体内での物質の移動は生物が生きている限り,常に極めて盛んにおこなわれており,その影響は極微量な放射線の影響が無視できるほどはるかに大きい。

 でもちょっと考えてみよう。この,自然のいたずらともいうべき,ほぼ完璧(だが不完全)という曖昧さや揺らぎが生物に突然変異や進化といった現象を引き起こし,ひいては地球上の豊かな生物多様性を生み出してきたもっとも重要な理由でもあるのだ。生物が進化してきたのは,被曝したからではなく,他の理由で長い時間をかけて遺伝子が変化してきたことに他ならない。また,人はこれまで放射線を使って主に植物の品種改良に関する研究を行ってきた。その代表的な成果に日本を代表するリンゴや,梨,ランなどがあることはご存じな方も多いはずだ。それと同時にこの過程では,放射線を使った品種改良ではいかに多量の放射線を照射しなければ品種改良に値する遺伝子の変化が発生しないこともわかっている。

 どんなに少ない量の放射線でもいやだといっても,体内に半減期が12.8億年もある放射性カリウム(K-40)がある。これは体重60kgの人で約4,000Bq含まれており,決して体内から除去することはできない。ケンシロウに言わせたとしても,「お前は既に被曝している!」のだ。

 一方,環境中にもともとある放射性物質のラドンの話をしよう。ラドンはアルファ線を出す放射性物質であり,ラドンが環境中にある一定量を超えると,肺がんのリスクを増加させることもよく知られた事実である。だけどこの刺激がそれよりも少ない場合には,ラドン温泉のように,生命に活力を与えてくれたりするから,湯治にも盛んに利用されたりしているわけだ。その効能は日本人なら誰でも知っているのではないか。ラドンが含まれる温泉にはたっぷり浸かって,たまにはラドンが含まれる温泉の水を飲んだりもする。けれども,今回の件のように,遺伝子に影響を及ぼす恐れのないほどの極微量が,水道水などにちょっとだけ増えちゃったという放射性ヨードは,飲まないようにしようとか,お風呂も気を付けようというのは,あまりに滑稽としか言いようがない。この測定値の行政の発表,そしてその発表に対する報道の姿勢にも大きな問題があって,「ただちに健康には影響ない」などと聴衆を脅すわけだから,これを聞いた視聴者はたまったものではない。

 放射線に対する行政や報道機関の姿勢を含め,今回の事態は我が国の放射線に対する教育があまりにお粗末であることを露呈している。それは一般市民は,「放射線」や「被ばく」というキーワードを最初に教えられているのが,小学校の社会科(つまり広島,長崎の原爆と一緒)だけという。戦争や恐怖と抱き合わせた歴史を織り交ぜた思想的・感情的かつ戦後の自虐史観的教育で終わっており,その後の科学的な教育から一切遠ざけられている。それは先進国の中でも,極めてお粗末としか言いようがない。この信じられない状況に,この機会に思い切ってメスを入れる時期であろう。

確定的影響と確率的影響

・確定的影響とは,一定の線量を超えれば必ず生体に発症する影響であり,それらには白血球の減少,白内障,皮膚の発赤,びらん,潰瘍,壊死,骨髄抑制または骨髄死,消化管死,神経死などが含まれる。このため,確定的影響にはしきい値があって,それ以下では発症しない。またその影響や症状は線量に応じて増悪する。

・確率的影響とは,発癌のリスクであり,これは線量に応じて確率が増加するという影響である。したがってこの影響にはしきい値はないと仮定されている。これは放射線防護の考えの根幹となっている思想である。

・確率的影響が存在すると言えるのは,100mSvを超えた線量域であり,それ未満の線量では仮説にすぎない。

ICRP(国際放射線防護委員会)では,放射線防護および管理の立場から放射線の利用に関してALARA(As Low As Reasonably Achievable)の原則を提唱している。これは仕事によって起こり得る無用な被曝は可能な限り合理的に避けようという考えに基づいた原則だ。したがって,職業被ばくを管理する立場としてはできるだけ無用な放射線に浴びないようにしようというルールである。この考えの土台となる重要な概念が,確率的影響である。確率駅影響の考え方は0mSvから100mSvの間でも,線量に応じた何らかの影響が直線的に存在すると仮定した影響であるが,その実態としての生物学的影響は現在まで認められていない。したがって,科学的に確率的影響は0-100mSv未満の低線量域で発癌の増加は認められていない。具体的には,先ほどの染色体異常と同様に,癌の自然発生率の増加がこの線量域では認められていないためだ。だから,100mSv未満の線量域で,純粋に放射線の影響によって癌になる確率が有意に増加することはおそらくこれからも認められないであろう。それよりも,環境汚染物質たとえば環境ホルモン,PCB,ダイオキシンなどの体内に残留して悪影響を及ぼす影響や,喫煙による発癌の増加の方が目先のリスク,あるいは制御すべき優先順位としてあげられることになるであろう。あるいは人の死亡原因としての交通事故,自殺,殺人,これらのリスクの方が低線量放射線による発癌のリスク上昇をはるかに上回っていることを理解した方がよい。

 確率的影響の考えに基づいて,放射線をできるだけ浴びないようにする姿勢はとても尊重すべきことである。しかしながら,今の政府・行政・報道機関の姿勢は,原子炉と避難先の周辺環境をいっしょくたにして,放射線や放射能の話題で国民を逐次的・断片的な情報で不必要に刺激し,むしろ翻弄させているのかもしれない。そうであれば正に,「あつもににこりてなますをふく」状況だといえよう。断片だけではない包括的で正確な情報とその正しい解釈と速やかな周知・普及とともに,これらに基づいて適正な政治的判断を下すことが,今まさに政治家に求められているのではないか。


引用元:
http://www.facebook.com/notes/masahiro-natsuhori/%E6%94%BE%E5%B0%84%E7%B7%9A%E6%94%BE%E5%B0%84%E8%83%BD%E3%81%AB%E5%AF%BE%E3%81%97%E3%81%A6%E4%B8%8D%E5%AE%89%E3%82%92%E6%84%9F%E3%81%98%E3%81%A6%E3%81%84%E3%82%89%E3%81%A3%E3%81%97%E3%82%83%E3%82%8B%E6%96%B9%E3%81%B8/192683954101816


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Comment

No title

ありがとうございました。
とてもわかりやすく書かれた文章ですね。
放射能は「よくわからない」からこその怖さがあって、だからこそ「よくわからないものは排除すべし」になるのかもしれませんが、それによって福島の方たちが被っている「風評被害」には目を覆うものがあります(T_T)
政府も、もっと素人にもわかりやすい表現で的確な説明、納得のいく説明をする義務があるとつくづく思いました。
福島産の物は、なかなかこちらで買うことが出来ませんが…近々、ネットで福島県・会津のお米を買おうかと思っています。福島の物を買い物する事が「応援してるぜ」の意思表示になるかな~?と思って( ̄∇ ̄*)ゞ

2011.04.19(Tue) 21:12       sippo さん   #-  URL       

No title

sippo様

正しい情報に基づいて適切に怖がる事は大切だと思うのですが、間違った情報のもと不必要な怖がり方をする事は、デメリットの方が大きくなると思います。

風評被害のはなしを聞いて心が痛いです。
私自身も、関西弁なんでなにかとマイナスに決めつけられることがあります。
v-12
風評被害によって、被災地の方を二重三重に苦しめるのは、正しくないと思います。

2011.04.20(Wed) 22:04       グリコまま=ももたろう さん   #-  URL       

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2013.10.30(Wed) 16:25        さん   #         

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